【事例008】入国1年未満での家族滞在ビザ申請事例 – 長野県

ご相談の背景

過去に就労ビザ取得手続き(インドネシア人の在留資格認定証明書交付申請)のご依頼をいただいた企業より、ご本人のご家族(配偶者と子2名の計3名)様の呼び寄せについてご相談をいただきました。

お困りごとの内容

入国(入社)してからまだ1年程度であり、毎月の収入はそれほど高くないが、家族の招へいをすることは可能か。

当事務所の対応

「技術・人文知識・国際業務」など家族の帯同が可能な在留資格をお持ちの方のご家族を招へいする際には、本人の住所地を管轄する入管において「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請を行います。

「家族滞在」に該当する活動
入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
該当例としては、在留外国人が扶養する配偶者・子。

引用:出入国在留管理庁

「家族滞在」に該当する活動は上記のとおりであるところ、「扶養を受ける」と記載があることから、この在留資格の申請では日本にいる扶養者(申請人の配偶者または親)の扶養能力が審査に大きく関わってきます。

審査要領では、扶養者に必要な扶養能力について、「扶養することが可能な資金的裏付けを有すると認められること」とされており、

それを「申請書並びに扶養者の職業及び収入を証する文書から、扶養者が申請人を扶養することのできる経費支弁能力を有することを確認する」としています。

これを本ケースに当てはめますと、日本にいる扶養者(入社1年未満で、まだ収入は多くない)が、その配偶者と子ども2人の合計3名について金銭的に養っていくことが可能か、ということになり、仮に、扶養することが可能と認められるだけの経費支弁能力を説明できないとすると家族滞在の許可は下りないということになります。

経費支弁能力(収入)の疎明については、通常、次の資料を提出します。

扶養者の職業及び収入を証する文書
  • 在職証明書又は営業許可書の写し
  • 住民税の課税証明書及び納税証明書
  • (必要に応じて)扶養者名義の預金残高証明書 など

住民税の課税証明書は証明年度の1年間における給与収入等の合計額が記載されており、扶養者の年収を公的に証明するものとして、家族滞在の申請においても必須の提出資料です。

しかしながら、課税証明書は証明年度の1月1日時点で日本に住所がないと発行できず、また、翌年度の証明書は毎年6月頃にならないと発行がされないため、申請のタイミングによっては、この課税証明書を提出することができないということもよくあります。

本ケースの場合は発行可能な課税証明書がなく、申請日時点での給与収入額を証明できる資料は「給与所得の源泉徴収票」のみの状態でした。

そして、この源泉徴収票には入社してから数カ月分の給与額しか記載されておらず、申請人が家族3名を養うために十分な収入があることについて説明できませんでした。

このようなとき、当事務所ではよく次の資料を用意するようにアドバイスをしています。

収入額説明の補完資料
  • 直近数カ月分の給与明細書または賃金台帳
  • 入社から直近月までの給与支払証明書(会社に作成してもらう)
    ⇒各月の平均をとることで、およその年収を推定する。
  • (必要に応じて)毎月の収支表 など

直近数カ月分の給与明細書(賃金台帳)は審査中に追加資料として提出を求められる場合も少なくないので、はじめから提出してしまっても良いかもしれません。

本ケースでは入社1年目であっても冬季賞与が支給されていたため、入社から直近月までの給与支給額と賞与支給額を記載した「給与等支払証明書」と、これにプラスする形で、入社2年目以降の昇給額、年2回の賞与支給見込み額を反映した「予定年収に関する説明書」を作成し、申請時にあわせて提出をしました。

結果

審査期間10日。交付。

行政書士コメント

過去の申請経験から考えると、本ケースでは扶養能力を認められる収入には足りない可能性も大きく、依頼者にはそのことについて説明し、了承を得たうえでの申請でした。

しかしながら、結果としては家族3名全員の許可(審査期間もわずか10日)となりました。