【事例012】就労ビザの要件でみられる「学歴」とは? – 富山県

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ご相談の背景

富山県の製造メーカー様から、
新卒留学生を CADオペレーター(機械部品設計) として採用したいというご相談がありました。

候補者は:

  • 母国の短期大学で工学部(機械工学)を卒業し、準学士号を取得
  • 卒業後に来日し、日本語学校を卒業した後、専門学校で国際ビジネスを専攻
  • 日本語能力も高く、CAD操作も得意

という非常に優秀な人材でした。

しかしこの企業さまは、インターネットでビザの許可要件について調べ、
学校での専攻内容と仕事の内容が関連していることが必要という記事をみて、

「卒業見込みである専門学校の専攻が設計業務と一致しないのでは?」
「技人国で不許可になるリスクはないのか?」

との不安を抱えているようでした。

そこで、「外国人ビザに詳しそうだ」と感じた当事務所のホームページを見つけていただき、
電話でお問い合わせをいただいたのがご相談のきっかけです。

お困りごとの内容

ヒアリングの結果、企業様の懸念点は次の3つでした。

日本の専門学校の専攻と職務内容が合っていない

専門学校では「国際ビジネス」を専攻していたため、

  • マーケティング
  • 経営基礎
  • プレゼンテーション
  • 貿易実務

などを中心に学んでおり、
設計業務との関連性は薄いように見えていました。

外国の学歴は日本でどう評価されるのか

企業様・本人ともに、

  • 母国の大学の学位は日本でどの程度評価されるのか
  • 在留審査で評価される学歴は直近のものなのか

が分からず、採用判断ができない状態でした。

当事務所の判断と対応

当事務所ではまず、

「審査の対象となる学歴は外国の大学等も含まれるため、直近の学歴が日本の専門学校であって、仮にその専攻と職務内容に関連性がなくても問題はない。また海外の学位は短期大学(準学士)でも認められる。」

という点をご説明しました。

そのうえで、以下のように申請戦略を組み立てました。

審査対象の学歴は一つに限定されない

今回のケースでは、まず 母国の大学が技人国の学歴要件を満たす高等教育機関であるか を確認するところからスタートしました。
申請者には 母国大学の卒業証明書成績証明書の写し を提出してもらい、工学部(機械工学)で準学士号(短期大学士)を取得していることを確認しました。

技人国の学歴要件は、日本の大学だけでなく 母国の大学(短期大学を含む)も対象 とされています。今回の学歴は制度上の要件を満たしており、かつ 工学系の学術的背景 が明確でした。

想定している職務は、
CADを用いた設計・図面作成及び修正 といった内容であり、これは工学部で学ぶ機械系・設計系の知識と非常に関連性が高い分野です。

以上を踏まえ、
「母国大学の工学部卒という最終学歴は技人国の学歴要件を満たしており、CAD業務との関連性は十分に説明できる」という前提で、申請書類の整備を進めていく方針としました。

工学部での履修内容とCAD業務の関係を具体的に示す

本人は母国の大学で、

  • 機械設計
  • CAD/CAM基礎
  • 材料力学
  • 製図
  • 機械要素設計

といった専門的な科目を複数履修していました。

そこで職務内容の説明書では、

  • 3Dモデルの作成・形状検討
  • 図面の寸法・公差の理解
  • 設計者の指示内容を技術的に解釈して反映する業務
  • CADオペレーション

などが 大学で学んだ機械工学の知識を前提にした業務 であることを明示しました。

結果

在留資格変更申請から約1か月後、
無事に 「技術・人文知識・国際業務」での在留資格変更が許可 されました。

在留期間も 5年 が認められ、
大変満足されているようでした。

採用後は、設計補助業務からはじめ、

  • 新規製品の試作図面作成
  • 海外工場向けの技術資料作成

など、工学知識と語学力を活かして幅広く活躍されているとのことです。

行政書士コメント

「学歴」の考え方と関連性の判断基準

在留審査において「最終学歴」とは、最も高い学位を取得した教育機関を指します。
日本の専門学校を卒業していても、母国大学の学位(学士号等)があれば、原則として母国大学が最終学歴となります。

また、学歴と職務内容の関連性については、

  • 大卒の場合:関連性は“ゆるやかに”審査される
    → 厳密に一致する必要はなく、学んだ分野と業務の方向性が概ね一致していればOK

  • 専門学校卒のみの場合:より厳密な関連性が求められる傾向
    →本ケースのように「国際ビジネス専攻」では「設計業務(CAD)」との関連性は認められず、
     最終学歴がこの専門学校である場合は、許可を取得できない可能性が高い。

という違いもあります。

そして、本ケースでは専門学校よりも前の大学での学歴が評価の対象とされるため、

「最も直近の学歴(日本の専門学校)での専攻が職務と一致しないと許可はおりない」
ということにはなりません。

母国大学の専攻が今回の業務と結びつく以上、
十分に許可が見込めるケースと判断できます。


少しでも不安があれば、早めの相談がベスト

  • 「専攻と職務の関係が微妙に感じる…」
  • 「母国で取得した学位が日本でどう評価されるか分からない…」

こうしたご不安は、企業様・留学生どちらにも多く見受けられます。

このような場合には、
採用段階で専門家へご相談いただくことで、不許可リスクを事前に回避できるようになります。

“内定を出したもののの許可がおりず、取り消しせざるを得なかった・・”とならないよう、
少しでも気になった方は、お気軽にご相談ください。

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