ご相談の背景
神奈川県の建設機械製造を営む企業からのご相談。
「ベトナム国籍のエンジニア(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)を雇用したいが、従事させる業務が在留資格の要件に合っているか事前に確認する方法はないか」とのお問い合わせをいただきました。
お困りごとの内容
就労可能な在留資格を持っている方なのですぐに雇用することはできるが、主に工場内での業務になるため、入管のいう「単純労働」に該当しないか確認をしたうえで、安全に雇入れをしたい。
当事務所の対応
「就労資格証明書」の制度をご説明し、業務内容のヒアリング・確認を行いました。
就労資格証明書とは、簡単に言いますと「外国人が行う業務について、その内容が在留資格の要件を満たす活動であること」を入管に証明してもらうもので、具体的には次のように説明されています。
就労資格証明書とは、我が国に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」といいます。)を出入国在留管理庁長官が証明する文書です。
外国人を雇用等しようとする者は、その外国人が我が国で就労する資格があるか否かについてあらかじめ確認したいと思いますし、他方、外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには、自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。 (中略)
しかし、具体的にどのような活動が認められているかについては、入管法の別表に記載されている各種の在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。
そこで、入管法は、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし、雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。
引用:出入国在留管理庁
本ケースでは、雇用契約書を拝見させていただいうえで、実際に就業予定の現場を見学したところ、工場内の業務ではあるものの、そのほとんどが「化学」に関する学術的な素養を必要とする業務に該当するものと判断できたため、職務内容を説明する理由書と疎明資料をあわせて入管に提出しました。
結果
審査期間約1か月。交付。
(実際に交付された就労資格資格証明書)

行政書士コメント
現在行っている業務またはこれから行おうとする業務内容が在留資格の要件に合致しているかどうか(ビザ更新や変更の許可が下りるか等)についてのご相談はとても多いです。
このようなご相談をいただいた際に、当事務所としては過去の経験などから、その見通しについてご説明をさせていただくことは可能ですが、最終的にその可否を判断するのは入管であるため、当事務所でそのお墨付きを与えることまではできません。
この点、就労資格証明書は入管に活動内容の適合性について証明してもらえるため、①自身の業務内容が在留資格の要件に合っているか心配な外国人本人、②雇用するまたは雇用しようとする外国人に行わせる業務が入管法に違反しないものか確認をしたい所属機関、③建設業種など関連会社または取引先等から就労資格証明書の提示を求められた所属機関等などにおいてその交付を受けるメリットがあるものと考えられます。
また、就労資格証明書の交付を受けたうえで、同じ会社・業務内容で次回の在留期間更新許可申請を行う際には、当該証明書の写しを提出することで、スムーズに審査が進むことも期待ができます。