留学生を採用する前に確認しておきたい3つのポイント

タブレットを持つ笑顔の外国人ビジネスマン

留学生を採用し就労ビザを取得する際に入管への在留資格変更許可申請が必要となりますが、その申請をする前に可能な限り確認をしておかなければならないポイントがあります。

例えば在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合に気を付けるべき点は次のとおりです。

目次

採用候補者の在留状況について確認をする

留学生としての在留状況が「不良」とされる内定者については就労ビザへの在留資格変更が認められない可能性が高まります。

これは、「留学」という在留資格を与えられ勉学に励むべき立場であるのに、本来行うべき活動をしていない、もしくは認められていない活動をしている(=在留状況が不良)者に対するペナルティであり、また、その後の在留活動(就職して働くこと)に対しても疑いをもたれる結果ともいえます。

在留状況が不良と判断される可能性のあるケースとして主なものは次のとおりです。

アルバイト(資格外活動)の就労時間数を確認する

留学生がアルバイトをするためには入管から資格外活動許可を受けることが必要ですが、この許可には「1週間あたり28時間以内しか働いてはならない」という制限があります(学校の長期休業期間については1日について8時間以内の範囲で就労可)。

この就労時間の制限について、就労ビザへの在留資格変更許可申請の場面で問題になるのが、いわゆる「働きすぎ」であり、上記の時間制限を守っていないケースです。

このケースに該当すると在留状況が「不良」と判断される可能性も大きくなりますので、採用候補者に対して「アルバイトをしている場合は、就労時間の制限を遵守しているか。これまで制限時間をオーバーしたことはないか。」としっかりと確認しておくことをお勧めします。

税金等の支払い状況について確認する

留学生が日本で生活する場合に納付が必要な税金等として「国民健康保険料」と「住民税」があります(住民税に関してはアルバイトをしていない場合や、収入が少ない場合には非課税となります)。

在留資格変更許可申請の場面では、これらに未納があると在留状況が不良と判断され、消極的な評価とされる可能性が高まりますので、申請日時点で納期が到来しているものについては完納しておく必要があります。

ただ、実務上は未納がある状態で申請をしてしまった場合でも、それがよほど悪質と判断されない限りは、入管から「未納があるようなのですが」などと連絡(追加資料提出通知)がありますので、しかるべき対応をすることで不許可となることは避けられるケースが多いです。

しかしながら、未納があることが不許可のリスクであることは確実ですので、そのような状態のまま申請手続きに進むことのないよう注意すべきです。

学校の出席状況・成績を確認する

採用候補者が卒業予定(既卒を含む)の学校が「日本語学校」または「専門学校」の場合には、学校が発行する出席率証明書に記載の出席状況が良好であるかについて確認が必要です。

在留資格の変更にあたってはどれくらいの出席率があれば良いかということについて、明確な基準は公表されていませんが、これまでのケースではおよそ「80%」がボーダーラインではないかと考えています。

ただ、必ずしも80%以上出席していなければ在留資格変更が許可されないというわけではなく、やむを得ない事情がある場合など、入管から説明を求められた際に明確な回答ができる場合には問題にならないこともあります。

しかしながら、学校に行かないことに特段の理由がなく、例えばアルバイトに明け暮れていたりするなどして出席率が極端に低いような場合には不許可になる可能性が高いと言えます(最もこの場合には、アルバイトの時間オーバーにも該当する可能性もあります)。

例えば、母国の大学を優秀な成績で卒業後、留学生として日本語学校に通っている採用候補者が、仮にどれだけ有望な人材であっても、しっかりと日本語学校の授業を受けておらず、留学生としての活動を良好に行っていないと判断される場合は就労資格への在留資格変更も認めれませんので、注意が必要です。

まとめ

以上、留学生を採用する前に確認しておきたい3つのポイントをご紹介しました。

これらのポイントは入管庁が公表している「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(外部リンク)」に基づいているものでもありますので、あわせてご確認ください。

また、入管の審査は個別に行われるため、一人ひとりその状況は異なります。上記のポイントに関する判断が難しい場面もあるかと思いますので、そのような場合には事前にご相談をいただければと思います。

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