人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、
外国人労働者が安心して働き続けられる職場づくりに取り組む事業主に対して、
その取組みに要した費用の一部を国が助成する制度です。
言語や文化に違いがある外国人にとって、日本で働くことは少なからず不安を伴います。
労働条件や職場ルールが十分に理解されていないと、誤解やトラブル、早期離職につながることもあります。
このコースでは、たとえば次のような取組みが対象になります。
外国人からの相談窓口となる雇用労務責任者を明確にすること
就業規則や労働条件通知書などを、外国人にも理解できる形で示すこと(多言語化など)
苦情・相談体制や一時帰国休暇制度を整えること
現場で使用するマニュアルや標識を、言葉や表示方法の面から見直すこと
これらの取組みを「就労環境整備計画」としてまとめ、あらかじめ認定を受けたうえで、
計画どおりに実施し、一定の要件を満たした場合に助成金が支給されます。
どのような企業・業種が対象になるか
このコースは、特定の業種だけを対象とした制度ではありません。
一定の要件を満たしていれば、幅広い事業主が利用できます。
① 外国人労働者を雇用している事業主であること
② 外国人雇用状況届出を適正に届け出ている事業主であること
③ 認定された就労環境整備計画に基づき、計画期間内に就労環境整備措置を新たに実施すること
④ 一定期間に解雇等がないこと
⑤ 一定期間における外国人労働者離職率が基準を満たしていること
⑥ 社会保険の適用事業所であること。対象事業所に雇用される労働者が被保険者であること。
⑦ 過去に同様の助成金を受給している場合は3年が経過していること
⑧ その他、労働保険料の滞納がない、不正受給がない、法令違反がないこと等
どのような外国人が対象になるか
下記の条件を満たしている労働者であれば、
在留資格の種類にかかわらず、この助成金における「外国人労働者」に該当します。
①労働施策総合推進法に基づくハローワークへの「外国人雇用状況届出」の対象であること。
②事業主に直接雇用され、労働契約を締結していること
③雇用保険の一般被保険者であること
④社会保険の適用事業所に雇用されている場合は、被保険者になっていること
助成額と必要な取組み(60万〜最大80万円)※令和7年度
1制度あたり20万円・最低3制度=60万円
このコースでは、外国人の就労環境を整えるための取組み(就労環境整備措置)を、
1つ実施するごとに原則20万円が助成されます(上限あり)。
就労環境整備措置は、次の5つの区分で整理されています。
(イ)雇用労務責任者の選任
(ロ)就業規則等の多言語化
(ハ)苦情・相談体制の整備
(ニ)一時帰国のための休暇制度の整備
(ホ)社内マニュアル・標識類等の多言語化
そのうち、
- 「雇用労務責任者の選任」
- 「就業規則等の多言語化」
の2つは、必ず実施が求められる取組みです。
さらに、残りの3つ(苦情・相談体制/一時帰国休暇制度/マニュアル・標識類の多言語化)のうち、
少なくとも1つは新たに導入する必要があります(選択メニュー)。
つまり、制度を利用する場合、原則として
- 必須の2制度
- 追加で1制度以上
合計3制度以上の取組みを計画・実施することになります。
1制度あたり20万円という単位で考えると、
3制度分の取組みを行った場合、合計額としては60万円程度の助成を受けられる仕組みになっています。
実際の支給額は、計画どおりの実施や要件の充足状況によって決まりますが、
「外国人のための具体的な取組みをいくつか組み合わせ、その結果として60万〜80万円程度の助成を受けられる可能性がある」というイメージで捉えていただくと良いと思います。
最大80万円に相当する取組み例
4つ分の就労環境整備措置を実施した場合、
20万円×4制度=80万円に相当する助成を受けられる仕組みになっています(上限)。
必須の2制度に加えて、残り3つのうちから2つを選ぶ形になりますので、
たとえば次のような組み合わせが考えられます。
例1:相談体制と一時帰国休暇を重視する場合
- 雇用労務責任者の選任(*必須メニュー)
- 就業規則等の多言語化(*必須メニュー)
- 苦情・相談体制の整備
- 一時帰国のための休暇制度の整備
→ 外国人が「困ったときに相談しやすい」「家族と会う時間を確保できる」
という面を重視し、心理的な安心感を高めていくイメージの取組みです。
例2:現場の安全と相談体制を重視する場合
- 雇用労務責任者の選任(*必須メニュー)
- 就業規則等の多言語化(*必須メニュー)
- 苦情・相談体制の整備
- 社内マニュアル・標識類等の多言語化
→ 安全配慮がとくに重要な職場で、作業マニュアルや標識の多言語化と、相談体制の整備を組み合わせるイメージです。
例3:現場の安全と一時帰国休暇を組み合わせる場合
- 雇用労務責任者の選任(*必須メニュー)
- 就業規則等の多言語化(*必須メニュー)
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 社内マニュアル・標識類等の多言語化
→ 現場での安全面の分かりやすさと、生活面(帰国)の安心感の両方を整えたい企業に向いた組み合わせです。
どのような組み合わせが適しているかは、
- 企業の業種や事業内容
- 外国人の人数・在留資格・勤務形態
- 現時点での課題(コミュニケーション、安全、離職など)
によって変わります。
主な受給要件
就労環境整備計画を作成し労働局長の認定を受ける
助成金を受給する前提として、最初に 「就労環境整備計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けること が求められます。
計画期間
計画期間は 3か月以上1年以内 とされ、
最初に就労環境整備措置を導入する月の初日 からスタートします。
計画申請時に必要な主な書類
計画認定申請の際には、次のような書類を提出することが求められています。
- 就労環境整備計画書
- 導入する就労環境整備措置ごとの「概要票」
- 事業所における外国人労働者名簿
- 事業所確認票
- 多言語化する予定の就業規則等
- 多言語化する予定の社内マニュアル等
- 事業所が社会保険適用事業所であることが分かる資料
- 外部機関や専門家に業務を委託する場合には見積書の写し など
提出期限
就労環境整備計画期間が始まる日の「1か月前の日」までに、計画書を提出する必要があります。
(例)計画期間を「8月1日〜翌年7月31日」とする場合
→ 提出期限は7月1日 になります。
計画の提出先
- 計画書の提出先は、本社所在地を管轄する都道府県労働局 です。
- 地域によっては、ハローワークで提出を受け付けている場合もあります。
計画に基づく就労環境整備措置の導入と実施
計画の認定を受けた後は、その計画に基づいて就労環境整備措置を導入し、
実際に実施すること が次の要件になります。
イ.雇用労務責任者の選任
雇用労務責任者は「就労環境整備への取組み、外国人労働者からの相談対応、その他外国人労働者の就労環境の整備等に関する事項について管理業務を担当する者」とされています。
助成金の受給との関係では、次の 1〜3すべて を満たすことが条件とされています。
- 事業所ごとに雇用労務責任者を選任し、周知していること
- 外国人が就労している各事業所(雇用保険適用事業所)ごとに選任
- 氏名を事業所内に掲示、または社内メール等で周知し、外国人労働者がわかる状態にしていること
- 計画期間中に1回以上の面談を行い、結果を書面により作成すること
- 計画期間中に、雇用労務責任者が外国人労働者と少なくとも1回は面談(オンラインでも可)
- 面談結果を、書面で記録していること
- 労働法令違反に関し相談できる関係行政機関の案内を周知していること
- 労基法・最賃法・安衛法等に違反する扱いを受けたときに相談できる労働基準監督署などの行政機関の案内を、外国人に周知していること
ロ.就業規則等の多言語化の要件
次の1・2を両方満たすこと が必要です。
- 就業規則等を多言語化し、計画期間に雇用する外国人へ周知している
- 対象:就業規則、労働協約、労働条件通知書、雇用契約書のいずれか(=「就業規則等」)
- ハ「苦情・相談体制」やニ「一時帰国休暇制度」を導入する場合は、
その内容を反映させた就業規則・労働協約を多言語化する必要あり
- 計画の対象となるすべての事業所における就業規則等を多言語化している
ハ.苦情・相談体制の整備の要件と注意点
1〜3すべてを満たすこと が条件です。
- 就業規則を変更して、苦情・相談体制を新たに定め、その内容(利用方法など)を周知している
- 外国人労働者からの苦情・相談に対応する体制である
- 支給申請日の時点で、その体制が継続して運用されている
対象となる苦情・相談体制の例:
- 事業所内に相談窓口を設置
- 外部機関の通訳同席での個別面談
- 外部機関に委託して、苦情・相談専用の電話・メール窓口を設ける など
ニ.一時帰国のための休暇制度の整備の要件
こちらも 1〜3すべて を満たす必要があります。
- 就業規則を変更し、外国人が一時帰国を希望したときに取得できる 有給休暇制度 を新設する
(ここでいう有給休暇は、労基法39条の年次有給休暇とは別枠のもの) - 1年間に1回以上、連続5日以上 の有給休暇が取得できる制度である
- 支給申請日の時点でも、その休暇制度を継続して運用している
ホ.社内マニュアル・標識類等の多言語化の要件
次の1つの要件 を満たせば対象になります。
- 社内マニュアル・標識類等を多言語化し、計画期間中に新たに作成したものを外国人労働者へ周知している
ここでいう「社内マニュアル・標識類等」とは、就業規則等を除き、
継続的に労働者へ提示される社内文書・表示 を指します。
- 育児・介護休業、高年齢者雇用安定などに関する社内マニュアル
- 寄宿舎規則、安全衛生、ハラスメント防止、福利厚生に関するマニュアルや掲示物
- 外国人向けの安全標識・案内板・動画教材 など
これらを、外国人労働者の母語や使用言語、または「やさしい日本語」で表現し、
計画期間に新しく作成したものを周知することが条件です。
外国人離職率の基準を満たすこと
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)では、
「計画どおりに措置を導入・実施した」だけでは足りず、
その後の6か月間の外国人労働者の離職率が一定水準(15%以下)であることが
支給の要件になっています。
離職率を確認する期間(離職率算定期間)
- 就労環境整備措置をすべて実施した日の翌日から起算して6か月間が
「外国人労働者離職率」を計算する対象期間(離職率算定期間)になります。 - この6か月間が終わったあと、2か月以内に支給申請を行います。
外国人労働者離職率の計算式
離職率は、次のとおり計算します。
外国人労働者離職率(%)
=(離職率算定期間中に「離職」により雇用保険の資格を失った外国人労働者数)
÷(就労環境整備措置の実施日の翌日時点の雇用保険の被保険者である外国人労働者数)×100
「離職」として数えないケース
次のような理由で資格喪失した場合は、
離職率計算の分子に含めないとされています。
- 定年退職
- 重責解雇(重大な非違行為による解雇)
- 役員昇格や、本人の事情による勤務時間短縮などで
「雇用保険一般被保険者」でなくなっただけのケース - 契約更新を行わないことが前提の有期契約で、当初の予定どおり更新なく契約満了したケース
- 在留期間の上限に達したことに伴い、母国等に帰国した者
(特定技能1号・技能実習・一部の特定活動などに限定)
基準値(15%以下)と少人数事業所の特例
- 原則
上記計算式で算出した外国人労働者離職率が 15%以下 であること。 - 外国人労働者が2~10人の事業所の特例
離職率算定期間の初日における外国人労働者数が2人以上10人以下 の場合は、
「算定期間中の外国人労働者の離職者数が 1人以下」であれば基準を満たしたものとされます。
計算例①:外国人労働者が20人いる場合(一般的なケース)
- 就労環境整備措置の実施日の翌日時点の外国人労働者数:20人
- その日から6か月間のあいだに、「離職」としてカウントされる退職者:2人
この場合の離職率は
2人 ÷ 20人 × 100 = 10%
となり、15%以下なので基準を満たします。
同じ条件で、離職者が4人だったとすると
4人 ÷ 20人 × 100 = 20%
となり、基準(15%以下)を超えてしまうため、
この要件は満たさない、という整理になります。
計算例②:外国人労働者が5人の事業所(少人数特例)
- 離職率算定期間初日の外国人労働者数:5人
- 6か月の算定期間中の離職者:1人
この場合、通常の計算式では
1人 ÷ 5人 × 100 = 20%
となり、15%は超えていますが、
この助成金では「2~10人の小規模事業所」について
「離職者が1人以下ならOK」
という特例があるため、要件は満たすことになります。
一方、同じ5人の事業所で離職者が2人出た場合は、
「1人以下」という特例条件を満たさないため、
離職率要件をクリアできないという扱いになります。
助成金の受給までの流れ
支給申請までのスケジュール
まずは、外国人の就労環境をどのように整えるかをまとめた
「就労環境整備計画書」を作成します。
・対象の事業所を特定します
・どの就労環境整備措置(イ〜ホ)を組み合わせるか
・計画期間をいつからいつまでにするか(3か月以上1年以内)
といった内容を整理し、本社所在地を管轄する労働局または
ハローワークへ提出して、計画の認定を受けます。
認定された計画に沿って、就労環境整備措置を職場に導入します。
・雇用労務責任者を選任し、外国人に周知する
・就業規則や労働条件通知書の内容を見直し、多言語化の準備を進める
・苦情・相談窓口や一時帰国休暇制度を、就業規則等にきちんと定める
・マニュアルや標識類の多言語版を作成し、配置場所を決める
といった作業を、就労環境整備計画期間の中で完了させるイメージです。
制度を作っただけでなく、実際に運用する(実施する)ことが必要です。
・雇用労務責任者が、外国人労働者と定期的に面談を行う
・多言語化した就業規則やマニュアルを周知(配布・掲示)し、説明する
・相談窓口や一時帰国休暇制度を、就業規則どおりに運用する
など、導入した就労環境整備措置を実施します。
整備措置の実施日(各メニューのうち一番最後に実施した日)の
翌日から6か月間が、外国人労働者の離職率を確認する期間です。
・この6か月間に、外国人が何人在籍し、何人が離職したか
・離職率が原則15%以下になっているか
・外国人が継続して1人以上在籍しているか
等を確認します。
離職率の算定期間(6か月)が終了した日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。
支給申請の内容が審査され、すべての要件を満たしていると認められれば、
就労環境整備措置1制度あたり20万円(上限80万円)が支給されます。
・必須の2メニュー(イ・ロ)+選択メニュー1つ以上を導入していること
・計画に沿って制度を導入・運用した記録があること
・離職率などの数値要件を満たしていること
といったポイントをクリアしているかが確認されます。
外国人が定着する職場づくりと助成金の両立
外国人を積極的に雇用する企業では、人材確保に課題を抱えている業種が少なくありません。
そのような状況では、外国人材の採用が進む一方で、
- 言葉の壁により、職場ルールや安全に関する理解が十分に行き届かない
- 相談しづらさから悩みが蓄積し、突然の退職につながる(他社に流れてしまう)
- 日本人社員と外国人社員の間でコミュニケーションギャップが生じる
といった課題も多く聞かれます。
この助成金は、そうした課題に向き合うための取組みを
「外国人の就業環境について体系的に見直すためのきっかけ」として活用できる制度です。
- 助成金を活用して、就業規則・マニュアル・相談窓口などを整える
- その結果として、外国人社員が安心して働き続けられる環境に近づけていく
という流れをイメージしていただくと良いと思います。
オフィスマツリカの助成金申請サポート
外国人雇用・入管法に強い専門家が対応
当事務所は、外国人雇用に関する手続き等を専門的に取り扱う行政書士・社会保険労務士の事務所として、
日頃から外国人雇用に関するご相談や手続きを多数お受けしています。
- 累計2,000件を超える就労ビザをはじめとする在留資格の申請実績
- 外国人を雇用する多数の企業様からのご相談対応
- 外国人従業員の雇用・労務管理
といった業務の経験を活かし、
助成金の制度だけでなく、実際の就労実態・在留資格との整合性も踏まえながら計画づくりをお手伝いします。
就業規則等の整備とセットで支援
このコースでは、「就業規則等の多言語化」が必須の取組みとなっており、
背景には「日本語の就業規則そのものが法令に沿っていること」が前提としてあります。
オフィスマツリカでは、
- 現在の就業規則その他各種規程の内容確認
- 外国人雇用に合わせた条文の見直し・追加案の作成
- 労働基準監督署への届出手続きのサポート
など就業規則・社内ルールの整備と助成金申請をセットで支援いたします。
顧問サービスとの組み合わせ(外国人雇用顧問×助成金)
当事務所の外国人雇用顧問サービスをご利用いただける企業さまには、
- 在留資格全般のご相談
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といった継続的なサポートを、顧問契約の中で手厚くフォローさせていただきます。
さらに顧問先企業さまには、
就労ビザの在留期間更新手続きを無料でご対応できるほか、
助成金の申請手続きも特別料金(割引)でご利用いただけます。
料金(初回相談無料/着手金無料)テーブル
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初回相談 | 無料 |
| 着手金 | 無料 |
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| 顧問先割引 | 顧問契約中の企業さまは支給決定額の15% |
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認定を受けた計画に基づき、段階的な就労環境整備措置の導入・実施を支援いたします。
これらの措置を実施した後は、外国人労働者の離職率などの要件を満たしているかを確認し、
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必要書類を整えたうえで支給申請までしっかりサポートいたします。
顧問先様については助成金の受給ができたあとも、追加で外国人を採用する際のご相談、在留資格の更新・変更手続きなどについて、継続してお気軽にご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)
お問い合わせ・無料相談のご案内
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、
外国人の就労環境を整えるための取組みを、後押ししてくれる制度です。
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といった段階でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。
